獣医学生のつぶやき

コロナウィルスを獣医学生視点で考える その2

前回の続きです。 → コロナウィルスを獣医学生視点で考える その1

 

 

 

前回の続きの前に、今回のテーマは、【コロナウィルス】です。

 

コロナウィルスは、ウィルスですが、

 

ウィルスと細菌、真菌の違いが分からない方もいらっしゃるかもしれないので、表にまとめてみました。

 

ウィルス 細菌 真菌
生物の分類 DNAかRNAの一方とタンパク質で構成された物質 単細胞原核生物 多細胞真核生物
DNAとRNA いずれか一方を持つ 両方持つ 両方持つ
細胞質と細胞壁 どちらも持たない 細胞壁や細胞膜が細胞の中身を包む 強固な細胞壁や細胞膜が細胞の中身を包んでいる
増殖の特徴 単独で増殖できない(生きられない)ため、動物などの細胞内に侵入して増殖する。 自ら栄養を摂取して単独で増殖して生きられる。 他の栄養を摂取し、単独で細胞が無くても増える。
治療法 一部のウィルスにしかワクチンによる予防摂取ができず、抗ウィルス薬も少ない。 抗生物質や合成抗菌薬など 抗真菌薬

 

 

 

 

 

 

では、本題へ。

 

前回は、代表的な【ヒトに感染するウィルス】 まで書きました。

 

現段階で分かってるヒト・動物に感染するコロナウィルス

【動物から動物・動物からヒト・ヒトからヒトに感染するウィルス】

重症急性呼吸器症候群(Severe acute respiratory syndrome 通称:SARS)


皆さんも名前を聞いた事があるかと思います。僕は、中学生の時で、修学旅行の海外が中止になった記憶があります。

 

2002年中国広東省で発生し、翌年に全世界に広まった新興感染症。

 

世界中で推定8000人強が発症し、775人の死亡者が出ました。

 

 

 

【病原体は??】

ニドウィルス目

コロナウィルス科

オルソコロナウィルス亜科

ベータコロナウィルス属

SARSコロナウィルス

 

です。

 

 

分類的には、その1でご紹介した、

 

・ヒトコロナウィルスOC43株・・・上気道炎

・ヒトコロナウィルス-HKU1株・・・下気道炎

 

と同じ分類になります。

 

 

 

 

 

 

【感染環は??】

感染源は、キクガシラコウモリと考えられてます。

 

コウモリから、イタチアナグマ・ハクビシン・タヌキにウィルスが移り、

 

その、イタチアナグマ・ハクビシン・タヌキを食べた中国人が感染しました。

このウィルスは、ヒトーヒト感染を起こし、接触感染・飛沫感染により感染します。

 

 

 

 

 

【症状は??】

動物はほとんどが不顕性感染(注:不顕性感染とは、感染が成立していながら臨床的に確認しうる症状を示さない状態の事をさします。)

 

人間は、潜伏期間が2〜10日間と幅があり、

 

前駆症状は、発熱・倦怠感・筋肉痛・頭痛・悪寒などのインフルエンザの様な症状から呼吸困難・下痢に移行していきます。

 

重症化すると、急性呼吸促迫症候群・酸素欠乏の症状があらわれます。

 

 

 

 

 

【診断と治療法】

診断・・・鼻咽頭拭い液、尿や便からPCR法により病原体の遺伝子の検出もしくは、血清からELISA法または蛍光抗体法

治療・・・有効な治療法はない。対症療法のみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中東呼吸器症候群(Middle East Respirstory Syndrome 通称:MERS)

2012年にサウジアラビアにて、60歳男性が急性呼吸器不全および腎不全にて死亡。

 

2013年は散発的だったが、2014年に中東諸国で院内感染で急激に患者数が増加し、

 

2015年韓国にて院内感染を発端に大流行。

 

2048人が発症し、838人の死亡者が出ました。

 

 

 

 

 

【病原体は??】

ニドウィルス目

コロナウィルス科

オルソコロナウィルス亜科

ベータコロナウィルス属

MERAコロナウィルス

 

 

分類的には、SARSと同じ属になります。

 

 

 

 

 

【感染環は??】

感染源は、アロエクビコウモリだと考えられてます。コウモリからヒトコブラクダへウィルスが移り、

 

ヒトコブラクダの、乳・尿・糞便・唾液等の接触・飛沫感染によりヒトへと感染します。

このウィルスは、ヒトーヒト感染を起こし、接触感染・飛沫感染により感染します。

 

 

 

 

 

【症状は??】

動物では、ヒトコブラクダで、軽度の呼吸器症状

 

ヒトでは、潜伏期間が2〜13日と幅があり、

 

初期症状は、発熱・咳・咽頭痛・筋肉痛・関節炎から呼吸困難・下痢等の消化器症状へ移行

 

重症化すると、急性呼吸促迫症候群になります。

 

 

 

 

 

【診断と治療法】

診断・・・鼻腔吸引液、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、気道吸引液、肺胞洗浄液などからPCR法で病原体の遺伝子の検出

 

治療法・・・有効な治療薬はない。対症療法のみ。

 

 

 

 

文章が長くなるので、続きはその3へ。