獣医学生のつぶやき

「アニマルウェルフェアと動物愛護」に関しての考察

今日のあみちか

 

 

 

 

F.TOMOCHIKAは北海道で獣医学生をしてます。(身バレしちゃうので、どこの大学かは言わない方向にしています)

 

僕の大学は4年生からゼミに所属します(獣医の大学は六年制です)、他の獣医学部の大学も多分同じです。

 

 

大学生それぞれにゼミを選ぶ選択の仕方は様々あり、楽なゼミを選んだり、就職に強い所を選んだり、魅力的な先生の所に行ったり。

 

僕は、実家の昔飼っていたにゃんこや、あやちかとのお別れ等もあり、最期を迎える時の壮絶さを経験した人間としては、

 

緩和や対症療法もしくは介護・看護的側面

 

で、今、苦しんでいる動物たちに何か出来ないかを模索していく路線で進んで行きたい。と思っていました。

 

その中で、両親の職業も相まって、鍼灸マッサージ等の緩和ケアを今のうちから学べないのかと思い、

 

大学の色々な先生に、相談した結果、

 

うちの大学では、産業動物(牛・馬)のゼミの先生に知識を持った先生がいらっしゃる事を知り、

 

産業動物のゼミに所属しました。(鍼灸マッサージの記事はまた別の機会に)

 

 

ゼミに入って分かった事ですが、産業動物という観点からなのか、「生産性」という言葉がいつでもついてきます。

 

入院してくる子たちもいますが、「生産性」が無くもう商品としての「価値」がないと提供されてくる子たちもいます。

 

僕は、結構、この提供で「生産性」がないという考え方が、自分の中でどうしても割り切る事が出来ないなーっと思ってるのが現状です。

 

予後が不良で、治療の価値がないので、病変の病理的視点の勉強にという考え方も理解出来ますが、

 

大学という研究機関で、可能な限り治療をしてあげるというのも考え方なのかなとも思っています。

 

 

また、そこには、一つ大きな壁があるなと僕は思ってます。

 

それが、

 

アニマルウェルフェアと動物愛護

 

という考え方の違いだと思っています。

 

最近、動物行動学という科目を受講し、テストも終了した所なのですが、

 

動物行動学の授業内で言われていた言葉が印象的でした。

 

その授業の言葉を引用させて頂きます。

 

「アニマルウェルフェアとは、畜産学の立場から言うと、動物への配慮に関する西欧由来の思想であり、

 

高度な思考や社会性を有する動物に対し、生きている間の生活に配慮してあげることは倫理である。

 

その倫理は、科学の裏付けを持って普遍化される。

 

アニマルウェルフェアとは、「動物への配慮」であることから、なぜ配慮しないといけないのかの倫理学、

 

何を考慮しなければならないかの生物学、そして実社会の中で成立するかの経済学を必要とする。

 

というのが、アニマルウェルフェアです。

 

ただ、このアニマルウェルフェアは「動物福祉」と訳されますが、

 

先程の解説では、高齢者福祉など社会的に広く普及している「福祉」が適切ではなく、

 

「動物への配慮の科学」が適切です。

 

「動物への配慮の科学」とは、功利主義の延長として、感受性のある存在へ配慮すべきとする倫理、

 

豚さんは豚さんらしく、牛さんは牛さんらしく生活する権利があるという動物権利倫理の融合なので、

 

そこには、「情」は必要なく、クールに動物の生活レベルを高める技術を科学的に追求する。」

 

アニマルウェルフェアという考えが日本人に合わない点がこの点なのかなと思います。

 

また、これが今の産業動物のゼミでメインになっている考え方なのでしょうか。

 

 

 

一方、日本人が持つ動物への配慮という精神である、「愛護」は、

 

人が、愛という情を持って動物に接するべきという倫理です。

 

動物の愛護及び管理に関する法律の第一条に記載が書かれているのですが、

 

以下、第一条の引用です。

 

第一条 この法律は、動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操のかん養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする。

 

つまり、そこには、「技術」ではなく「情」の涵養(かんよう)が重点に置かれているのだと思います。

 

やはり、世界基準としてのアニマルウェルフェアはとても大事だと思いますが、

 

僕は日本人として日本人らしく、動物愛護という観点で、「情」を持って、

 

最期の最期まで、やれることはやって、動物たちの最期を見届けたいと思う毎日です。

 

 

 


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